【第1回】塾・スクール・習い事を営んでいる方のための確定申告

解説コラム

みなさん、こんにちは!メイプル会計事務所・南伸一公認会計士税理士事務所のみなみです。

今回から、塾・スクール・習い事を個人事業で営んでいる方のための確定申告について、シリーズで解説していきたいと思います。塾・スクール・習い事を個人事業で営んでいる方が、確定申告を行う際の参考にして頂ければ幸いです。

塾・スクール・習い事とは?

ここでいうところの塾・スクール・習い事とは、

  • :小学生や中学生や高校生を対象とした学習塾のこと
  • スクール:パソコンスクールや英会話教室、あるいは、資格取得(簿記とか宅建とか)のための主に社会人を対象としたスクール
  • 習い事:ピアノ教室やギター教室、茶道、華道などといった習い事全般

などのことです。

個人事業とは?

塾・スクール・習い事といった事業を営む場合には、

  • 会社を作って会社として事業を行う場合
  • 会社は作らずに個人として事業を営む場合

があります。会社の場合も個人事業の場合も確定申告を行いますが、会社の場合は法人税の確定申告となり、個人事業の場合は所得税の確定申告となります。

ここでは個人の場合の確定申告について説明しますので、会社の場合はまた別の機会にお話しさせて頂きます。

確定申告とは?

所得税の確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続です(国税庁ホームページより)。つまり、1年間でどれだけ儲けたかを計算し、その儲けに対する所得税の金額を計算することと言えます。

個人事業主の確定申告の計算期間

個人事業主の確定申告の計算期間は、上述の通り、暦の1月1日から12月31日までの1年間です。

ちなみに会社の場合は、会社が自分で決めることが出来ます。日本の会社で一番多いのは、4月1日から翌年3月31日までの1年間とするケースです。

所得とは?

所得とはどれだけ儲けたかということです。ただしここでいう儲けとは、生徒さんから頂いた受講料や月謝のことではありません。生徒さんから頂いた受講料や月謝は、確定申告書上は収入金額といい、決算書の売上金額がそれに該当します。所得は収入金額(売上金額)から経費を引いた金額のことを言います。

経費とは?

経費とは、塾・スクール・習い事を事業として営む上で必要となる費用のことです。

具体的に言うと、講義を行うために場所を借りる際に発生する地代家賃やスタッフを雇った場合に発生する給料賃金、あるいは、生徒さんを募集するために行う広告宣伝費などがあります。これ以外にも、水道光熱費や旅費交通費、消耗品費といったものも通常、塾・スクール・習い事では発生することが一般的です。

所得の計算

以上より、所得の計算は、

収入金額(売上金額) - 経費 = 所得

として行います。

所得税の計算

先ほど、【確定申告とは?】のところで、

所得税の確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続です。

と述べました。なので、所得の金額が計算されたら、それに税率を掛けて所得税を計算することになると考えてしまいそうですが、税率を掛ける前に、所得の金額から所得控除というものを引いて課税される所得金額を計算します。

そして、課税される所得金額に税率を掛けて所得税の金額を計算することになります。所得控除の具体例として、生命保険料控除や扶養控除などがありますが、所得控除については、また後日改めて説明します。

所得税の税率

所得税の税率は以下の通りです。

課税される所得金額税率控除額
1,000円から1,949,000円まで5%0円
1,950,000円から3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
国税庁ホームページより引用

例えば、課税される所得金額が3,000,000円だったとすると、所得税の税額は、

3,000,000円×10%-97,500円=202,500円

となります。ちなみにこの表も国税庁ホームページに記載されており、「所得税の速算表」と呼ばれるものです。この表に当てはめると、所得税の税額を簡単に計算することができます。

なお、厳密には所得税の税額計算後、税額控除や復興特別所得税の計算、源泉徴収税額の精算があって納税額が出ます。ですが、やや細かいところなので、今回は解説を省略します。

確定申告は必須か?

以下に該当する場合は、確定申告をする必要がないとされています。

給与の収入金額が2,000万円以下で、かつ、給与を1か所から受けていて、その給与の全部について源泉徴収される人で給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等、一定の場合

最近は、副業を認める会社も増えているので、副業で塾・スクール・習い事を営んでいる方もおられるかと思います。そのような場合、副業の塾・スクール・習い事の事業で得られた所得金額と給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であれば確定申告不要となります。ただし、その他細かい要件があるため、副業をされている方の確定申告の要否は慎重に判断する必要があります。

確定申告を行う期間は?

原則として、その年の翌年2月16日から3月15日までとされています。

ただし、3月15日が土曜日、日曜日、祝日と重なってしまう場合は、翌平日が期限日になります。また、東日本大震災や新型コロナウイルスの感染拡大により、確定申告期間が延びたこともあります。

確定申告で提出する書類は?

塾・スクール・習い事を営んでいる場合は、事業所得に該当するので、確定申告を行う際には、確定申告書の他に決算書も提出する必要があります。

申告の種類には青色申告と白色申告がありますが、青色申告の場合は「青色申告決算書」、白色申告の場合は「収支内訳書」という名称の書類添付が必要です。青色申告と白色申告の違いについては、また後日、説明します。

さいごに

『塾・スクール・習い事を営んでいる方のための確定申告』第1回はここまでとなります。

今回は確定申告の大まかな内容や所得税の計算方法、手続等について解説させて頂きました。私自身が個人事業主で塾・スクール・習い事を個人事業として立ち上げた経験を有しておりますので、まだまだこのテーマに関しては話したいことがたくさんあります。全何回になるかは未定ですが、また続きを書いていきたいと思いますので、次回も読んで頂けるとうれしく思います。

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